【けんぶん録】 第8回 新たな生産方式

前回(第7回)は、「人手不足と高効率生産」についてでした。

今回は、「新たな生産方式」についてです。

製造業においては、常に生産の効率化を意識して活動されています。
省みると
バブル景気1986年(S61年)12月~1991年(H3)2月 5年間
資産価格の高騰による好景気で、単体のNC工作機械の販売も拡大されました。

製造工程を工程別に分けて、工程タクトによる順送り生産が主体でありました。

販売量を無視した生産重視のため、大量に在庫を抱え、作りすぎによる無駄な在庫の解消のため、値引きによる在庫販売をする時代でもありました。

無駄な在庫を持たない効率的なトヨタ生産方式は、脚光を浴び、注目され、米国ではリーン生産方式として、製造工程におけるムダの排除・製品及び製造工程の全体のトータルコストの削減を狙いとして、広く展開されるに至っております。

具体的には、JIT生産方式・カンバン方式・5S・サプライヤーチェーンマネージメント(SCM)・見える化・・・などです。

リーマンショック後は、「不良在庫は作らない」効率的な経営が追求され、現在では、「受注した分だけ生産」をすることが常識化しつつあります。

しかし、従来の単体機NC工作機械では、工程間の待ち時間等ムダ時間が発生するために、最近では工程結合・複合化された効率的な工作機械(5軸加工機+旋削機能)が主流となりつつあります。

複合加工機とタクト生産では、下記内容のメリット・デメリットがあります。

メリット
  複合加工機 工程分割生産(タクト生産)
1 人手不足対応 大量生産に向いている
2 複数台持ち生産が可能 故障時のライン対応が可能
3 生産のリードタイムの短縮 多工程同時の段換えが可能
4

多面・多工程加工が可能

問題点を個別に解決
5 工程集約加工 設備投資金額が小さい
6 上下同時加工による時間短縮(最大1/4に短縮) 工程分割によるタクト生産
7 取り付け・取り外しのムダの排除  
8 精度管理の一元化  
9 小さな設置面積  
10 非効率な多品種少量生産に向いている  
11 ヒューマンエラーの減少  
デメリット
1 投資金額が大きい 精度管理が多工程となる
2 作業者の熟練度により稼働率が変わる 大きな設置面積・素材の置き場所が必要
3   多くの人手が必要
4   工程待ちのムダ時間が発生
5   仕掛かり在庫が発生
6   取り付け・取り外し・受け渡しのムダ

現在の経営課題は、
1.人手不足対応に対応した生産であること。(有能な人材による少数精鋭生産?)
2.生産のリードタイムの短縮による経営の効率化
3.工程間仕掛かり品の減少による経営の効率化
4.同時加工による生産性向上による競争力強化
などなど解決しなければならない経営課題がたくさんあります。

特に非効率な多品種少量生産を、いかに高効率・高付加価値を生む新たな生産手法が求められています。

多品種少量生産は、製品が変わるその都度、「段換え」を必要としております。
その段換えの中身は、①プログラムの交換 ②刃物の交換 ③寸法調整 ④爪交換となります。

非効率な多品種少量生産爪交換を、10秒で交換が可能となれば、複合加工機による高効率で高付加価値を生む、新たな生産方法になると考えております。

コンセプトは、「機械を止めない段取り」、「生産を続ける段取り」です。

複合加工機も、ATC型(24本x2=48本)・刃物台4台(12本x4=48本)の刃物による、高効率・高付加価値な多品種少量生産を始めてみては如何でしょうか?。

しかし、複合加工機の検討で大事な事は、いかに機械を回すかでしょうか!!稼働率をいかに高めるかという事でしょうか!!

高性能・高効率のメリットと同時に、プログラムミスによる機械の衝突などの人的なミスで稼働率が下がります。

メーカーの開発コンセプトによりますが、初めから「人間はミスをする」を前提として、機械を開発しているメーカーもあります。

特に対向主軸・上下刃物台の精度が崩れたのでは、お釈迦製造機となってしまいます。又、その都度調整が自社において出来ればよいのですが、出来なければメーカーからのサービス員の出張を待つしかありません。その間機械が止まるわけです。

機械加工は、削ってナンボ(いくら)ですから。

爪交換のスピードUPをご提案申し上げます。

詳しくは、WEBの「シンセ クイック爪」でご確認ください。

次回は、「導入事例」をご紹介いたします。