【けんぶん録】 第7回 人手不足と高効率生産
前回(第6回)は、「加工時間短縮と生産効率」についてでした。
今回は、「人手不足と高効率生産」についてです。
「人手不足、収益に明暗も プロが読む4月~6月期決算のポイント」で上場企業の決算発表が本格化、人手不足が業績に与える影響・・・日本経済新聞の7月22日朝刊に記事がありました。
参考資料 20170722付日本経済新聞より
(クリックするとPDFでご覧いただけます)
これから「生産人口の減少」「人手不足」「働き方改革」・・・個人としても企業としても、変化に対応していくためには、たくさんの課題が有ります。
一つの答えとして、見直しによる自動化・無人化が必須であります。
前にも掲載いたしましたが、(第4回けんぶん録)24時間365日1秒1円、機械稼動が可能ならば、理論的に ¥31,500,000 稼ぎ出す話です。
不可能ですが近づくことは可能です。ある企業では、旋盤系で1ヶ月30日x24時間=720時間の内、700時間稼動している企業もあります。
確かに、旋盤系でも爪交換のない、製品を限定した自動化・無人化は、(自動車部品加工等・・・)現実可能です。
多品種少量生産(多品種小規模生産)となると、大掛かりなロボットとオートジョーチェンジャー(AJC松本機械工業製・北川TK製)の組み合わせで対応している例もあります。(主に工作機械メーカーなどが採用しています)
専用の交換プレート(面盤)に成形爪が組み込まれ、一体型となって爪と交換プレートを同時に交換します。
爪と交換プレートの重量が30kgから50kgあり、とても人手による交換ができないため、可搬重量100kg級の重量ロボットによる交換となます。
費用・場所・時間に余裕のある会社か、展示用に採用されていますが普及されていません。
しかし、非効率な多品種少量(小規模)生産が加速する中、その対応が問題となっています。
特に、多品種少量生産での旋盤作業では、製品が変わるその都度
① 爪交換(取付け・取外し)作業(機械停止時間約20分)
②爪再成形加工(機械停止時間約20分)
のいわゆる段取り作業(機械停止時間30~40分)が発生します。
この作業は、生産機械を止めるため、生産効率を低下する最大の要因と成っています。
確かに、作業者目線では、次の製品加工の準備となるために必要な作業と認識され、機械を止めていても意識の中には「サボっている」意識よりも、一生懸命「仕事をしている」いかにも大事な仕事・生産機械を止まるのは当然と思っているかもしれません。
しかし、「仕事とは、付加価値を生む生産活動である」と定義すると、生産機械を止めて行う作業は、仕事ではなくなります。むしろ生産活動(企業収益活動)の阻害要因といえるかもしれません。
特許APSチャックとクイック爪の複合化技術により爪交換時間は、大幅に短縮(従来比1/30)しました。
① 爪交換時のボルト取外し・取付け回数半減(12回⇒6回)
従来2箇所x3回=6箇所x2回=12回(約20分)
⇒ 1箇所x3回=3箇所x2回=6回(約1分に短縮)
② 爪再成形加工を不要(20分⇒0分に削減)にする事で、合計30~40分の大幅な時間短縮となります。
APSチャックの再現性(2009年に特許取得済み)と、クイック爪(特許審査中)の簡単・迅速交換の複合化技術は、非効率な多品種少量生産を高効率な高付加価値を生み出す新しい生産法のコア商品といえます。
旋盤の段取りでは、爪交換後、1・2工程の同心度確保のために必ず爪の再成形加工を必須としています。
このために貴重な生産機械時間が止まります。
この時間が約30分から40分、1回の段取りにつき、爪の交換と爪の再成形加工を実施します。
多品種少量(小規模)生産は、加工よりも爪交換と再成形加工に時間がかかるため、非効率な、儲からない仕事と言われてきました。
生産機械停止時間の改善として、自社の爪交換による生産方法の見直しを始めてみてはいかがでしょうか?
その結果、効果が確認できれば、次に、双腕ロボット等による自動爪交換と自動ワーク交換などへステップアップして自動化・無人化へ道が開けます。
非効率な多品種少量生産の連続自動生産の可能性がかなり身近になってきます。
規定の勤務時間(コアタイム8時間)と無人運転16時間の運用も一歩現実なものとなります。
次回は、「新たな生産方式」についてです。